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第12回 高尾記念市民公開講座「重力波で宇宙を探る−アインシュタインの相対論と新しい天文学−」開催レポート

10月30日(日)東京御茶ノ水のWATERRAS COMMON (ワテラスコモン)ホールで第12回、高尾記念市民公開講座を開催しました。

今回は、安東正樹氏(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 准教授)を講師にむかえ、「重力波天文学」の講演をいただきました。安東先生は、岐阜県の神岡に建設中の「重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)」の前身である国立天文台(三鷹)の重力波望遠鏡TAMA300から開発に関わられ、現在KAGRAと「宇宙重力波望遠鏡DECIGO(デサイゴ)」の計画に携わられています。また欧米の重力波望遠鏡(LIGO(ライゴ)やVIRGO(ビルゴ))の外部諮問委員もされています。

安東先生は、以下の3つの内容を中心に、講演途中に会場との質疑応答を交えながら講演してくださいました。

第12回、高尾記念市民公開講座

安東正樹 氏(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 准教授)
安東正樹 氏
(東京大学大学院理学系研究科 物理学専攻 准教授)

アインシュタインが残した宿題

重力波は、アインシュタインの一般相対性理論(1915年)から導かれる現象です。間接的には存在がすでに確認されていたものの、直接観測には非常に小さな変化の検出が必要で、アインシュタイン自身も直接観測は不可能と考えていました。しかし昨年(2015年9月)、アメリカの重力波顕微鏡LIGOが初観測に成功しました。観測された天体イベントは、ブラックホール連星の合体の瞬間でした。この章では「重力波」って何?という疑問を軸に、初観測に至るまでの歴史や重力波望遠鏡のしくみについて解説されました。

アインシュタインが残した宿題

アインシュタインが残した宿題

LIGOによる重力波初観測

今回重力波の初観測に成功した重力波望遠鏡「LIGO(ライゴ)」とはどんなものなのか?初観測された際のデータを見ながら、何が分かったのか、観測方法や意義についての説明があり、観測後に新しく生まれた謎や世界の観測網についても解説されました。

LIGOによる重力波初観測

LIGOによる重力波初観測

重力波望遠鏡KAGRA

現在日本(岐阜県、神岡)で建設が進められている大型低温重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)の紹介です。KAGRAは「地下に設置」「低温に冷却」という日本独自の先進技術が導入されており、本格的な重力波天文学のための国際観測網(世界5カ所)における拠点となります。今年(2016年)の4月に試験運転が終了し、2018年の本格観測をめざしアップグレードが進められています。

重力波望遠鏡KAGRA

講演の詳しい内容は、以下の動画(スライドショー)でご覧いただけます。

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