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公益財団法人 日立財団

第13回 高尾記念科学技術公開セミナー
「尿一滴で線虫が早期がんを嗅ぎ分ける!」開催レポート

2017年10月30日 学術・科学技術の振興

10月15日(日)上野公園の国立科学博物館 講堂で第13回高尾記念科学技術公開セミナーを開催しました。

今回は、九州大学発のベンチャー企業である株式会社HIROTSUバイオサイエンスの広津崇亮氏を講師にむかえ、「線虫によるがん検査」をテーマに講演いただきました。
長年にわたり線虫の嗅覚の研究をされてきた広津氏は、がんの匂いに注目し、線虫が尿でがんの有無を診断できることをつきとめました。実用化を目ざし研究がすすめられている、線虫の嗅覚を用いたがん診断テスト(N-NOSE)の感度は非常に高精度で、がんの早期発見を飛躍的に進めることができる技術として、さまざまな新聞やニュースなどで紹介されています。

会場の様子(国立科学博物館 講堂) 会場の様子(国立科学博物館 講堂)

広津 崇亮 氏 広津 崇亮 氏

講演では、冒頭にがんの現状と課題、将来についてのお話があり、続いて専門的な検査手法の解説、次に線虫によるがん検査の特徴や有用性、実用化に向けての開発スケジュールなどを順に説明されました。この研究は「線虫の嗅覚を社会に生かせないだろうか?」という新しい発想に基づいて始められたもので、広津先生の社会貢献への熱意が伝わる講演でした。

日本のがんの現状と課題

がんは1981年から日本人の死因第1位。その要因のひとつはがん検診率の低さにあります。
がんの解決には早期発見・早期治療が最重要ですが、世界と比べて日本のがん検診受診率は圧倒的に低い状況です。ではなぜ皆さんは、がん検診を受けないのでしょうか?講演の冒頭では、日本のがんの状況、課題などについて解説されました。

日本のがん検診受診率

がん検査の流れ

線虫とは?

がんの臭いを嗅ぎ分ける線虫とは?次の章では、線虫の種類や特徴、広津先生が線虫の嗅覚の研究を始めるきっかけとなったエピソードなどをお話いただきました。また、線虫が匂いを嗅ぎ分ける仕組み、嗅覚受容体の説明など、専門的な研究の内容を、検査データや動画を用いてわかりやすく解説されました。

線虫C.elegansについて

嗅覚受容体

N-NOSEについて

N-NOSE(N= 線虫の英語名:Nematodesの頭文字-鼻:Nose)は広津先生が開発された線虫の嗅覚を用いたがん診断システムの名称です。長年にわたる線虫の嗅覚の基礎研究を土台に、さまざまな実験、検証を重ね、線虫ががん患者の尿の匂いに反応することを発見されました。N-NOSEによる診断テストの制度は95.8%と大変高く、他の腫瘍マーカーと比較して圧倒的です。高精度で安価、苦痛も無く簡便であることから、実用化が実現すれば、がんの早期発見、早期治療が大幅に進むことが期待されます。

N-NOSEについて 高感度

最初のがん検診はN-NOSE

上記スライドを含む当日の講演資料と、参加者の皆さんより事前にいただいた質問に対する広津先生の回答集を以下よりダウンロードいただけます。是非ご覧ください。