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公益財団法人 日立財団

2017年度(第49回)倉田奨励金贈呈式を開催しました。

2018年3月19日 学術・科学技術の振興

3月1日(木)、経団連会館において、2017年度(第49回)倉田奨励金贈呈式を開催し、今年度の受領者32名に助成金の贈呈を行いました。
今や日本の科学技術振興の目標は、自主技術の開発から社会課題の解決を求められる時代へと変化しており、本奨励金では「エネルギー・環境」「都市・交通」「健康・医療」の3つの分野において、社会課題の解決を目的とする研究テーマに対し助成しています。また、自然科学だけでなく、自然科学と社会科学の融合分野において幅広い視野を持った研究テーマに対しても積極的に支援を行っています。

2017年度(第49回)倉田奨励金贈呈式 集合写真

贈呈式では、最初に葛岡利明理事長からの挨拶、次に大西隆選考委員長から選考経過の報告があり、続いて各受領テーマの紹介とともに受領者一人一人に理事長から贈呈書を手渡しました。
その後、文部科学大臣のご祝辞(板倉康洋審議官ご代読)を賜り、受領者代表挨拶として3つの分野と文理融合分野から1名ずつ、4名の受領者よりご挨拶をいただきました。

理事長より贈呈書を手渡し

葛岡理事長 葛岡理事長

大西選考委員長 大西選考委員長

文部科学省 板倉審議官 文部科学省 板倉審議官

受領者代表挨拶

エネルギー・環境分野代表 茨城大学 鵜野 将年氏
エネルギー・環境分野では、2015年のパリ協定の採択を機に、化石燃料からの脱却が世界的なトレンドになっており、各国が自主的な温室効果ガスの削減目標を掲げています。
削減への代表的な取組である再生エネルギーの導入は、日本においても増加しており、その増加分の9割は太陽光発電です。震災以降、ますますその重要性は増しており、とりわけ太陽電池パネルや蓄電池などの開発に多くの力が注がれています。私は、その中で曲率(湾曲面)の有無によらず、太陽電池パネルを最大限に有用活用することができる電力変換器の研究をしています。この研究により発電量の飛躍的な向上が見込まれ、将来的には温室効果ガスの削減にも貢献できるものと思っております。倉田奨励金で本研究を遂行し、研究成果を社会に還元できるよう努めてまいります。

エネルギー・環境分野代表 茨城大学 鵜野 将年氏

都市・交通分野代表 愛媛大学大学院 安原 英明氏
日本は少子高齢社会と言われて久しいですが、今後ますます高齢化して、生産年齢人口の減少というのは避けられないと思います。土木業界、建設業界においても就業者数の低下が著しく、平均年齢の高齢化も進んでいます。
しかし、私はこの超人手不足という現状は、技術革新を生む、最大のチャンスであると考えています。建設業界でも、世界の潮流であるAIやICTあるいはIotという新しい技術を活用した技術が生まれてきており、今後、ますますの技術革新が見込まれています。私の今回の研究テーマもIoT技術を用いて、斜面災害の監視システムを開発する研究です。
安心安全な社会の実現に向けて、私たち研究者の社会に対する役割は非常に大きいと思っています。今後も一研究者として、日々格闘していきたいと考えております。最後に、今後の日本は明るい未来しか無いとして結びの言葉といたします。

都市・交通分野代表 愛媛大学大学院 安原 英明氏

健康・医療分野代表 東京大学大学院 大杉 美穂氏
私はマウスの受精卵が分裂して個体になっていく過程を研究しているのですが、実は、カエルなどに比べて、私たちヒトを含む哺乳類の過程については、やや研究が遅れているのです。
しかし一方では少子化という問題に直面しており、ヒトに対しては不妊治療というかたちで受精卵に対する操作が行われています。そのような中、医師の方々の大変な努力のもとすすめられている不妊治療の現状に対して、もっと、私たち研究者が出来ることがあるのではないかと感じ、日々この研究に取り組んでおります。
一方で、生命科学分野の技術そのものについては、非常に進歩していますので、出来る事とやるべき事、このふたつを私たち研究者は常に考えながら研究を進めて行く必要があるのではないだろうかと思います。今回の受領は、単に金額だけでなく、精神的にも支えられると感じるもので、大変励まされました。いただいた助成金を最大限に活用して研究に取り組んで行きたいと思います。

健康・医療分野代表 東京大学大学院 大杉 美穂氏

文理融合分野代表 九州大学大学院 谷本 潤氏
科学技術万能の20世紀を経て、21世紀は環境問題を筆頭に、いろいろな困難が人類の前に立ちふさがっています。私たちは非常に難しいセッション、科学技術をレビューする文明の踊り場に立たされているのではないかと思います。このような中にあり、なおのこと文理を融合した研究、トランスディシプリナリーな研究パラダイムが非常に強く要請されているという風に思います。
私は交通流を進化ゲーム理論でモデル化し、どういった複雑な現象が出てくるのか?渋滞の裏側には、どんな社会的ジレンマが潜んでいるのかな?という研究をしております。こういった研究は、まさしく文理融合分野の研究フロンティアであろうなと思っております。
国の財政が厳しい中、技術立国を基盤にしている私たちを支える、研究者たちの社会的責務ということを強く感じます。このような背景のなかで、文理融合分野を含む基礎研究に光をあてて、助成をしてくださっている、貴財団の取組に非常に深い敬意を表します。科学技術を基盤にしながら、有形無形のものづくりを基盤にしている我が国、そしてあまねく人類の皆さんに資するような研究に取り組んで行きたいと感じております。

文理融合分野代表 九州大学大学院 谷本 潤氏

閉会後の記念パーティーでは、倉田奨励金選考委員((株)日立製作所フェロー)の小豆畑茂氏より乾杯のご発声をいただき、受領された研究者の皆さんと選考委員、ご来賓の方々が、和やかな雰囲気の中、情報交換など交流を深めていました。
パーティーは受領者と企業の交流の機会でもあります。日立財団は、社会課題の解決をめざす研究をオープンイノベーションにつなぎます。

小豆畑選考委員 小豆畑選考委員

パーティー1:大西選考委員長(左)と受領者 大西選考委員長(左)と受領者

パーティー2:選考委員(右)と歓談する受領者 選考委員(右)と歓談する受領者

参考リンク