飯長 喜一郎氏

[在籍期間:1979(昭和54)年~2015(平成27)年]

「子育て支援」実践や「家庭教育」研究のさきがけでした。

 横浜国立大学教育学部教授の依田明先生、日本青少年研究所の千石保先生や、早稲田大学文学部発達心理学の教授の小嶋謙四郎先生など、当時の「家庭教育研究委員会」には教育関連の各界の有名な先生が名を連ねていました。

 私はといえば、当時33歳の若輩、大学でも助手だった頃で、大先生方とご一緒させていただくのはおそれ多いことでした。
そのような多士済々のメンバーが独自に研究した成果をもとに、茨城県日立市の「日立家庭教育センター」と神奈川県横浜市の「日立家庭教育研究所」の2か所で開設した「幼児教室」や「お母さん教室」「お父さん教室」において実践を行なっていました。

 このように研究と実践を両輪として活動していたのは、小平記念日立教育振興財団の特徴で当時は例のないことでした。
また、ここで得た活動成果を「家庭教育シンポジウム」や「家庭教育セミナー」という形で、各地で開催し、家庭教育の啓発にも努めていました。こうしたイベントにも駒井さんは欠かさず出席され、研究者や参加者の意見を熱心にお聞きになっていた姿が鮮明な印象として残っています。

 このほか大切なことは、「家庭教育研究所紀要」(1980(昭和55)年~2015(平成27)年を年1回刊行したことです。ここには家庭教育研究委員会の調査・研究や研究奨励金による研究成果、投稿論文、センター・研究所の実践報告などを掲載しました。「家庭教育研究所紀要」は、全国の大学の図書館などに送付をしていましたが、創刊から15年も経つと他の論文に引用されることが増え、高い評価を受けるようになりました。こう言うと、我田引水と思われるかも知れませんが、この「家庭教育研究委員会」の活動は、現代の家庭教育研究の礎を築いたと言っても過言ではないと思っています。

<プロフィール>
飯長 喜一郎(いいながきいちろう)
「家庭教育研究委員会」創設メンバーの一人。1975(昭和50)年、東京大学大学院教育学研究科教育心理学専門課程博士課程単位取得満期退学。臨床心理学、カウンセリング、教育相談を専門分野とし、現在は国際医療福祉大学の大学院医療福祉学研究科臨床心理学専攻 特任教授。日本女子大学名誉教授、臨床心理士。