日立感染症関連研究支援基金 研究成果報告書(日本語)
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図 3 結果の一部:コロナ対策と「不安・恐怖」「無作法」との関連ることである.感染症のような不確実性の高いリスク状況下において,専門家は暫定的な科学的知見を分析・解釈し,リスク対策を提言する役割を担う.そのため,専門家による情報発信は社会の危機克服において不可欠であり,同時に,ソーシャルメディア上でも主要なアクタとして注目される.本研究では,政治体制や社会的権威の在り方が異なる日中両国において,専門家の発信がいかなる特徴を持ち,どのような反応を引き起こしたかを検討した.1.3.2 研究方法・経過 分析対象は,2020 年 1 月から 5 月にかけての中国の Weibo 投稿約 30 万件(1 月 1 日〜3 月 27 日)および日本の X(Twitter)投稿約 30 万件(1 月 23日〜5 月 25 日)である.分析事例として,感染症の不確実性がもっとも高い武漢ロックダウンと日本の第一波の期間を設定した.分析手法としては,半教師あり学習手法である seeded LDA および LSS(Latent Semantic Scaling)を用い,主題の抽出と感情的・言説的特徴の定量的把握を行った.具体的には,①専門家に関する議題の変化,②不安・恐怖および無作法な言説(incivility)の指標変化,③これらと具体的リスク対策との関連,④日本の専門家による発信の特徴を中心に検討した.1.3.3 研究成果 分析の結果,日中両国に共通して,政府による対応方針が確定する以前は「政府責任」に関する議論や無作法な言説が多く,不安・恐怖の言説も不確実性の高い時期に集中していた.一方で,両国の政治体制の違いが専門家に対する言説に影響を及ぼしていた.中国では,政府批判の割合が明確に低く,戦争メタファーを用いた「困難克服」の言説が支配的であったのに対し,日本では「困難」を中心に据えた語りが多く,戦争メタファーの使用は控えめであった.また,日本では専門家の発信が一貫して冷静かつ中立的であったことも確認された.ダイヤモンド・プリンセス号の事例を除き,専門家自身の発信が不安を抑制し,国民の協力を促す機能を果たしていたと考えられる.一方で,緊急事態宣言前には専門家個人に対して無作法な言説が集中する傾向もみられた.これらの知見は,政治体制,社会構造などが SNS 上のリスク・コミュニケーションの様態に影響を与えていることを示唆する.今後の課題としては,比較対象と分析事例を追加し,分析デザインをより一層精緻化していく必要がある.1.4  オンライン空間で COVID-19 リスクはどのようにコミュニケーションされたか?1.4.1 研究目的 現在のメディア環境では,市民がリスクを把握するうえでオンラインメディア,特にソーシャルメディアが与えている影響を無視することはできない.そこで本プロジェクトでは,COVID-19 に関する議論を中心に収集したビッグデータを様々な観点から分析し,パンデミック状況下で市民がどのように情報を共有し,また専門家やマスメディアの発信する情報に反応したかを把握することを試みた.1.4.2 研究方法・経過 分析に供したデータは,Twitter(現 X)など APIが利用できるものに関してはこれを用い,またWikipedia や Yahoo! コメント欄などについては独自の Python プログラムなどを作成して収集した.33日立感染症関連研究支援基金 研究成果報告書

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