5 年前の新型コロナウイルス感染症への対処において,さまざまな社会問題が顕在化したことは,皆さ 3 年間にわたる研究期間の中で得られたその知見を国際的に共有するために,2025 年 2 月 26 日に東巻 頭 言 平素より日立財団の運営に格別のご高配を賜り,心より御礼申し上げます. 本基金の研究成果報告書の発行にあたり,一言ご挨拶申し上げます. 日立財団は,1967 年以降株式会社日立製作所の歴代経営幹部の志によって設立された 5 財団を母体としています.2015 年 4 月の 5 財団統合後,旧 5 財団の創設者たちの熱い思いと理念を継承し,「学術・科学技術の振興」,「人づくり」,「多文化共生社会の構築」を中核領域に据えて,日立グループのこれまで蓄積してきた経験・ノウハウを生かしながら,社会のニーズに応じた活動を展開しています.まにもまだ記憶に新しいことと思います.不自由なく意識せずに繰り返されてきた日常が,ある日を境に遮断され,分断され,隔離されました.学校も,職場も,地域のコミュニティでさえもその脅威にさらされました.コロナの感染拡大は,人々にさまざまな社会経済活動上の制約を加え,これまでとは違った生活を強い,大きな影響を与えました.さらに,変異株の度重なる流行と長期化が,人々の考えや行動をどう変化させたのでしょうか.「3 密」「ソーシャルディスタンス」「自粛警察」といったこれまでにない生活様式,行動制限への揶揄も含んだ新しい言葉や,オンラインを駆使したコミュニケーション手法など新しい価値観や行動様式が生み出されました. 本基金は,新型コロナウイルス感染症に留まらず,感染症全般に範囲を広げ,感染症が蔓延した際に起こり得る社会問題について,エビデンスに基づき学術的に調査,分析,考察し,その知見を国際的に共有することをめざす研究活動に対して,3 年間にわたり助成するもので,2021 年に株式会社日立製作所,および同社役員・従業員,グループ会社役員からの寄付によって新設されました.本基金の創設にあたり,ご寄付を賜りました皆様に,深く感謝申し上げます. 研究の募集は 2021 年 4 月から行い,選考委員会による審査を経て,同年 11 月に助成対象研究プロジェクト 5 件を決定,12 月から研究活動がスタートされました.京・千代田区の経団連会館において国際シンポジウムを開催し,各プロジェクト代表者からそれぞれ成果をご報告いただきました. コロナに関しては,2023 年 5 月から 5 類に移行されましたが,その一方で 2024 年末からインフルエンザが猛威を奮い,現在は百日咳へと流行が続き,感染症との戦いは予断を許さないものとなっています.また,海外でもその他色々な感染症が流行しており,人々の日常生活を脅かし続けております. 本書では,各プロジェクトが様々な切り口から問題に取り組み,分析・研究を進めて得られた興味深い研究成果が報告されています.一過性の報告にしないためにも,ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います.この研究成果が,強靭かつ更なるレジリエントな社会の構築に貢献する契機となることを心より願い,巻頭の言葉とさせていただきます.公益財団法人 日立財団理事長 中畑英信2
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