日立感染症関連研究支援基金 研究成果報告書(日本語)
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1)医療機関と研究機関は 2023 年にデータ収集を終了した.されるということである.さらに,一般市民は生存戦略として政府の政策を巧みに操りながら即興的に創造的な活動を展開していた.困難な時期に人々のレジリエンスの源泉を理解し,平常時において公的支援を通じてそれらを強化することは重要である.2.研究の背景:サハラ以南のアフリカにおける新型コロナ 2023 年 1 月 2 日までに報告されたアフリカ大陸での新型コロナ感染者数は約 1,220 万人,死者数は 25 万 6,000 人であった(Africa CDC 2023)1).感染者数が最も多かったのは南アフリカで約 400万人,モロッコとチュニジアで各約 120 万人であった(JHU 2023).これらの数値は,アメリカで 1 億人,フランスやドイツで 3,000 万人以上の感染者数が出たことに比べると多くはない.しかし,それは後になって明らかになったことである.2019 年末に未知のウイルスが中国で出現し,2020年初頭に世界中に拡大し始めたとき,アフリカ諸国の政府,国際機関,専門家たちは,このウイルスがアフリカ大陸に上陸した場合には深刻な被害をもたらすのではないかと懸念した.サハラ以南のアフリカ諸国には,PCR 検査や感染者の隔離,接触者の追跡に必要な体制と設備などが整ってい41日立感染症関連研究支援基金 研究成果報告書助 成 期 間:2021 年 12 月 1 日~2024 年 11 月 30 日 助 成 金 額:3,000 万円 研究代表者:華井和代       東京大学 未来ビジョン研究センター 特任講師 本研究の目的は,サハラ以南のアフリカにおいて新型コロナの感染拡大と各国政府による対応策が人々にもたらすリスクとリスク認知の実態をとらえたうえで,人々が実践知を駆使してリスクを克服する過程を明らかにすることにある.対象地域はウガンダ,エチオピア,ケニア,コンゴ民主共和国,ジンバブウェ,タンザニア,南アフリカである.現地研究機関との協力によるフィールド調査とオンライン・ツールを活用して新型コロナ危機下での「草の根の声」を収集し,人々がリスクを克服していく過程を動的にとらえた.特に,政府による感染症対策が政治的に利用される可能性を示すと同時に,政府に対する一般市民の不信感が政策の効果を妨げる可能性があると示したことは,本研究の大きな貢献である.1.研究目的:草の根の声を聞き,教訓を導き出す 本研究の目的は,サハラ以南のアフリカにおいて新型コロナウイルス感染症(以下,新型コロナ)のパンデミックと各国政府による対応策の両方がもたらした生活への衝撃を,現地住民がどのように受け止め,そして乗り越えたのかを草の根の声の収集から明らかにすることにある.それによって,政策実施者の視点のみならず一般市民の視点からも教訓を導き出し,次のパンデミックに備える国際社会の議論に貢献することをめざす. 特に,政府による感染症対策が政治的に利用される可能性を示すと同時に,政府に対する一般市民の不信感が政策の効果を妨げる可能性があると示したことは,本研究の大きな貢献である.研究対象国では,政治家が選挙で票を獲得したり,政府が与党を有利にしたりするために感染症対策を利用したとの批判があった.偏った政策は,人々の政府への信頼を損ない,予防措置やワクチン接種の普及に悪影響を及ぼす可能性がある.予防策の迅速な実施はパンデミックを抑制するうえでは重要であるものの,社会的に脆弱な人々の保護や人権保障という観点では慎重に検討すべきである.ただし,本調査で明らかになったのは,政府やその政策に対する人々の認識は複雑かつ多面的であり,多くの場合,時間の経過や政策の結果に左右ダウンサイドリスクを克服するレジリエンスと実践知の探究―新型コロナ危機下のアフリカにおける草の根の声

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