日立感染症関連研究支援基金 研究成果報告書(日本語)
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主な発表論文・学会発表等Hanai, Kazuyo, Christian S. Otchia, Kithinji L. Kinyua, Rangarirai Muchetu (2023) “The 60th JAAS Annual Conference, Forum Report on Exploration of Practical Wisdom and Resilience Overcoming Downside Risk: Collecting Grassroots Voices in Africa under COVID-19,” 日本アフリカ学会『アフリカ研究』104 号.Rangarirai Muchetu ed. (Forthcoming) Innovative Resil-ience: Zimbabwean Peasants in the Face of COVID-19, Routledge.る政府への高評価が見られた.第 3 に,ワクチン接種行動に対する誤情報の影響が明らかになり,第 4 に,困難を克服する対処戦略の実態が描き出された.それによって,レジリエンスの源泉としてアフリカ諸国ではインフォーマル・ネットワークが重要であることが描き出された. 調査結果を踏まえて以下の 4 点を,将来の感染症拡大に備える国際社会への提言として提示する. 第 1 に,感染症対策がもたらすリスク・トレードオフへの対策の必要性である.感染症対策によって人々の命を守ろうとする政策が,経済活動の制限による飢餓や他の感染症の悪化など他のリスクを高めてしまうリスク・トレードオフをできる限り避けられるように,感染症対策と経済活動維持の適切なバランスをとる,あるいは,感染症対策と,より迅速かつ有効な経済対策を同時に行うことが必要である.特に平時から多様なリスクにさらされている脆弱層がくらす地域では,リスク同士のつながりを把握して政策をとることが必要である. 第 2 に,パンデミックが政治化されたり,厳しい感染症対策が結果的に政府への高評価につながるという現象は,民主主義の危機につながり得ると警告する.パンデミック下で人々が政府に強い権力を認めることが民主主義の危機につながり得るという警告はかねてからあったが,パンデミック中に選挙があったウガンダやケニアでは感染症対策の政治化が顕著にみられ,そうした短期的な問題や厳しいロックダウンにともなう汚職に対しては人々が不満を持つものの,長期的には厳しい政策を受け入れ,政府が強い権力を持つことを認めるという傾向が見られた.この傾向が持つ将来的なリスクについては自覚しておく必要がある. 第 3 に,誤情報への対策の必要性として,人々が情報を信用する源泉となる現地の歴史や文化に基づいて誤情報の影響を把握し,信頼できる伝統的指導者などのキーパーソンと連携して誤情報を対処・是正するための標的を絞ったコミュニケーション戦略をとる必要がある. 第 4 に,いずれの国でも,レジリエンスの源泉はインフォーマル・ネットワークにあることが示されたことから,平時からこうしたネットワークを支援する援助の必要性を唱える.国際機関からの援助は,グローバルサウスのインフォーマル・セクターをフォーマル化することを志向する傾向にある.しかし,世界全体が危機に陥って援助も公的支援も届かないときにはインフォーマル・ネットワークがレジリエンスの鍵となることを考えると,人々の相互扶助を促進するようなインフォーマル・ネットワークの形成・維持を支援することは重要である. 研究成果と提言は,2025 年 5 月に英語書籍としてまとめて Springer から出版したほか,2025 年 6月と 9 月に国際学会で発表し,同年 9 月に東京大学未来ビジョン研究センター(IFI)から政策提言として発表し,パンデミックに備える国際社会の議論に貢献する.6.今後の展望 今回の研究では,現地研究機関との連携を強く後押ししてくださった日立財団のおかげで,アフリカ 7 か国の研究機関が調査の中核を担うことができ,研究スキルとネットワークの向上に貢献することができた.それもまた,大きな成果の一つである.ウガンダ,南アフリカ,ケニア・タンザニ ア,ジ ン バ ブ ウ ェ で は 現 地 で も 研 究 ワ ー クショップや研究大会を開催して現地の研究者や実務家と議論する機会を提供することができた.ジンバブウェでは,現地の研究者の共著による書籍出版を予定している.本研究が形成した研究の基盤が,現地研究者の尽力によって今後さらに発展していくことを願っている.(1)発表論文(2)書籍出版Hanai, Kazuyo, Rangarirai Muchetu, Kithinji L. Kinyua, and Yoichi Mine eds. (2025) Practical Wisdom and Resil-ience Overcoming Downside Risk: Grassroots Voices in Africa Under COVID-19, Springer.(3)国際学会での研究発表Ssali, Vick L., “Bridging Continents through Collaborative Research on Covid-19 Resilience in Africa,” The Africa-Asia, A New Axis of Knowledge conference (AAC3), at Université Cheikh Anta Diop, Senegal, on 11-14 June 日立感染症関連研究支援基金 研究成果報告書48

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