日立財団では,学術・科学技術の振興,人づくり,多文化共生社会の構築を中核領域に据えて社会のニーズに応じた活動を行っています。
本ジャーナルの提供により,研究者や当事者を中心とした人々が,専門領域を超えた有機的な交流と相互理解を深める機会を創出し,学術分野における新たな発想や視点のひろがり,および発展への一助となる事をめざしています。こうした活動を通して,多文化共生社会の構築に貢献していければ幸いです。
本号では,「多文化共生社会の構築とは」という大きなテーマのもと,有識者や当事者の思うところや課題と対応策などを紹介して,世の中に“気づき”の輪をひろげ,このテーマの重要性と本ジャーナルを発刊する目的を発信いたします。
本コーナーでは移民社会としての日本が今どうなっているのか,そしてそれを取り巻くグローバルな情勢はどうなっているのか,といったことについて連載を通じて明らかにしていくことを目的としている。
第1回目のテーマは,日本は移民社会なのか,そしてそうだとすればその特徴は何かという点についてである。日本がすでに移民社会であるという事実はだいぶ知られるようになったといえるが,それがいかなる特徴を有するものかといった点についてはほとんど知られていない。本稿ではそういった点について,具体的なエビデンスに基づきつつ,明らかにしていきたいと思う。