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第15回 日立財団科学技術セミナー「みんなの再生医療の実現に向けて〜歯や毛髪再生のイノベーション」開催報告

会場の様子

10月26日(土)東京駅駅前の日本工業倶楽部 大会堂で第15回日立財団科学技術セミナーを開催しました。

日立財団では、多くの方々に科学への関心を持っていただくことをねらいとした科学技術セミナーを開催しており、毎回、著名な科学者に講演をお願いしています。
今回は、辻 孝 氏(理化学研究所 生命機能科学研究センター 器官誘導研究チーム チームリーダー)を講師にむかえ、「みんなの再生医療〜歯や毛髪再生のイノベーション」をテーマに講演いただきました。

辻 孝 氏

辻先生は、器官(臓器)の「タネ」を作り出す技術「器官原基法」を開発し、この技術により、世界に先駆けて歯や毛髪、唾液腺、涙腺の器官再生を実証しています。そして、「再生医療を通じて人々の健康と生活の質の向上に貢献する」という「QoL(Quality of Life)医療」のビジョンのもと、実用化に向けた研究開発を進めておられます。

本講演では、再生医療の中から主に「歯」と「毛髪」の再生技術についてお話いただきました。冒頭に再生医療のあゆみ、日本、世界の最新情報など、再生医療の背景について説明され、次に器官(臓器)再生のメカニズムと「器官原基法」の解説、続いて歯の再生技術、毛髪の再生技術について説明がありました。

今回紹介された次世代インプラント技術、毛髪再生技術は、近い将来の実現を見据え、ヒトを対象とする臨床実験の準備に向けて研究が進められています。

辻先生は講演の中で「超高齢化社会、医療費の増大といった課題を抱えるなか、いかに健康を維持するか、いかに病気になる前に手を打つか、というのが、医療のこれからの流れになってくると思います。そこで、私たちは、医療イノベーションの中の再生医療分野で、命にかかわる医療だけではなく、健康に、豊かに生きていくための医療、QoL医療を提案したいと思っています」と研究への思いを語られました。

再生医療の最前線は「いのちの再生医療」から「みんなの再生医療」へ、より多くの人に身近な医療へ広がってきているとのこと、再生医療技術と未来の健康長寿社会への理解を深めることが出来る講演でした。

お問い合わせ

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