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公益財団法人 日立財団

10月31日(土)第16回 日立財団科学技術セミナーをオンラインで開催しました。

講師 香取秀俊氏
講師 香取秀俊氏

今回は、量子エレクトロニクスの分野で原子時計の研究をされている香取秀俊氏(東京大学大学院工学系研究科 教授、理化学研究所香取量子計測研究室 主任研究員)を講師にむかえ、「光格子時計」をテーマに講演いただきました。
「光格子時計」は香取先生が2001年に提案されたもので、300億年経っても1秒も狂わない、現在の秒の定義であるセシウム原子時計の精度をはるかに凌駕する時計です。香取先生は理論だけでなく、その実証においても世界をリードし、新しい研究の流れをつくられました。今、この日本発の技術は、次の「1秒」の長さを決める秒の再定義の最有力となっています。
講演には約300名の方にご参加いただき、光格子時計の原理と実証実験の紹介の他、時間の定義、時計のしくみ、社会実装や未来の可能性までを、わかりやすくお話いただきました。

時間はどうやって認識する?

時間を測るには一定の周期現象(振り子)が必要になります。この周期現象に昔は地球の自転、公転、などを使っていましたが、現在はセシウム原子の振動の数を数えることにより1秒を決めています。
精度の高い時計をつくるためには、いい振り子を見つけて正確に測ることが大切であるとこのこと、講演の冒頭では身近にある時計のしくみや時間について解説されました。

どうやって時間を認識する?

我々は歴史的な「原子時計の精度革命」に立ち会っている!

原子時計とは?—光格子時計をつくる

原子は、ある特定の周波数の電磁波がきたときだけ励起状態になる。その性質を利用し、特定の周波数を正確に測定して振り子の基準とするのが原子時計です。
テーマの本題に入り、ここでは光格子時計のしくみや時計の研究の面白さ、世界の研究の状況などについてお話いただきました。

光格子時計:奇想天外な企て

世界3極での光格子時計の実現と「秒の二次表現」の採択(2006.10)

これまでの研究成果と実証実験

次に、光格子時計の約20年間の研究の進歩と成果、小型化を実現しスカイツリーで行われた最新の実証実験の結果などについて解説がありました。
誰も知らない手法へのワクワク感、Curiosity(好奇心)を原動力とした基礎研究に始まり、現在はその量子技術を社会実装へつなげていく研究をすすめられているとのこと、香取先生の研究への熱意が伝わるお話でした。

時計は重力ポテンシャル計になる

スカイツリーでの比較実験

未来の時計

光格子時計(18桁の時計)は単純に時間を測るだけの道具ではなく、相対論的な時空の歪みを見る道具になりつつあります。では、このオーバースペックな時計は、社会でどのように役立つのでしょうか?
減災への応用や、ダークマターの発見など、講演の最後は未来の時計が持つ可能性についてお話いただきました。

光格子時計ネットワーク:相対論で国土を監視する未来社会インフラ、GNSSの補完・代替

時間インフラは半世紀の応用を視野に入れる過剰性能をもつべき

講演後のアンケートでは「素晴らしいお話でした。世界が変わる興奮を覚えます。」「ついに一般相対性理論の現象が身近に見え、応用できる時代になったのだと感激しました。」など、たくさんの感想をいただきました。当日の講演資料の抜粋版は下記からご覧いただけます。