日立財団は「学術・科学技術の振興」「人づくり」「多文化共生社会の構築」を中核領域としたさまざまな事業を通じて、持続可能な社会の構築と国際社会への貢献を目的とし、2015年に日立製作所の5つの財団が合併して発足した財団です。
日立製作所の創業者 小平浪平の「企業活動を通じて社会に奉仕する」思いを受け継ぎ、1967年、第二代社長の倉田主税が、若い研究者を支援する財団を設立し、その後、倉田主税とともに戦後の日立製作所を支えた副社長、竹内亀次郎により青少年健全育成の財団が、また、第三代社長の駒井健一郎により家庭教育、早期教育を支援する財団が誕生しました。続いて環境・公害問題に取り組む財団、東南アジアの大学教員を受け入れる財団が設立され、現在の日立財団の根底が形づくられました。
今日では、日本の科学技術は格段に進歩を遂げ、世界の中でも評価されています。また国境を越えた人や物の移動も盛んになり、私たちの生活は豊かで便利になりました。しかし同時に森林伐採などの環境破壊や地球温暖化等の進行により世界各地で大きな災害や深刻な疫病が発生するようになりました。多様化・複雑化・グローバル化した社会では様々な局面で格差が増大し、世界的な課題となっています。
私たちは、お互いに共生しながら持続的に豊かに生きるため、このような社会課題を、科学技術とその適切な活用を通じて克服していかなければなりません。日立財団は、最初の財団設立からまもなく60年の節目を迎えます。イノベーションを意識した日立の企業財団として、引き続き社会課題の解決に貢献してまいります。
公益財団法人日立財団
理事長 中畑 英信