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創刊企画
日立財団

日立財団とは、そして新たに創刊されたWebマガジン「みらい」とは。
社会に対しどんな情報を発信していこうとしているのか。
新創刊のいま、理事長の田中と編集主幹の守山がその目指す地平について語ります。

聞き手:「みらい」編集主幹・拓殖大学教授 守山 正氏

日立5財団の取り組みも40年、50年を経ると時代が変わり、
世の中のニーズも変わってきました
(田中)

インタビュー

守山:それぞれ実績のある5つの財団をひとつに合併し、2015年に「日立財団」が発足されましたが、この経緯をお聞かせください。

田中:5つの財団を合併したのは2015年でした。この5財団はおよそ1967年から1984年くらいにかけて、日立製作所の歴代の社長や副社長によって設立されました。当時の社会課題として科学技術の振興、幼児期からのしつけや教育、あるいは公害問題、非行少年の更生などがあり、それらに対する社会貢献の意味合いで財団が作られ活動をしてきました。
当時としては非常に先駆的な取り組みだったと思うのですが、40年、50年という時間の経過につれ時代が大きく変わり、世の中のニーズも変わってきました。5財団の活動ももっと時代のニーズに即したものにすべきではないかということで財団改革が提起され、発展的に5財団を合併いたしました。

守山:なぜ、日立製作所の歴代の方はそのような財団活動を興されたのでしょうか。

田中:もともと日立には「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念があります。創業社長の理念で日立はいま創業106年目ですが、ずっと変わっていません。つまり、事業を継続していることがひとつの社会貢献となっているわけです。一方で、事業だけでは解決できない、カバーしきれない問題もあります。そういった事象に対して財団の方から人々の生活により密着したかたちで、さまざまな事業やプログラムを展開してきました。日立にとっては、企業と財団の両面から社会貢献を続けてきたともいえます。

今後の展開を考えると「犯罪と非行」という
以前の機関誌のタイトルは重荷になりますね
(守山)

守山:私は犯罪関係の学者として、合併前の5財団の一つだった「日立みらい財団」が発行していた『犯罪と非行』という機関誌の刊行に携わってきました。それが今回「みらい」というタイトルのもとに刊行スタイルや内容を変えて新たにWebマガジンとして再スタートを切ることになりました。これも財団改革の一環でしょうか。

田中:2015年度に5財団を合併し、その時に「中期事業計画」を策定し、日立財団が担う中核分野として「学術・科学技術の振興」「人づくり」「地域コミュニティ支援」の3つを設定しました。それを踏まえて時代のニーズに沿って、「日立財団」として統一的な考えのもとに全ての事業の見直しを行って来ました。『犯罪と非行』という雑誌は「日立みらい財団」の機関誌として昭和44年から発行し、刑事政策やその実務活動などで研究者の方の交流の場となっていました。「犯罪と非行」は、掲載された論文が他の有名な論文誌や学術誌に引用されるなど、多くの方々に注目されて高い評価を得た雑誌であり、旧「日立みらい財団」としては非常に重要な事業でした。当時としては先駆的な取り組みだったのですが、やはり時代とともに犯罪や非行少年の傾向などが変わってきたと思うのです。ここで改めてこの事業を全体的に見直し、より多くの読者の方々に知ってもらうために、このたび刷新することとなりました。特に今回からWebマガジンとしたのも、時代に即したメディアであったからです。

守山:先日、犯罪問題を扱ったシンポジウムに出席したのですが、我々専門家は日頃から犯罪問題について議論していますから、「殺人」といった言葉を日常的に交わすんですね。ところがたまたま一般の方が参加されており、「犯罪」という言葉を聞いただけでドキッとしたそうなんです。「犯罪と非行」という雑誌が一部の限られた人たちの間では非常に定着したと思うのですが、今後読者を広げたりニーズをさらに吸い取ったりするためにはこの「犯罪と非行」という言葉がやや重荷になるという印象は、そのシンポジウムで感じました。

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