ページの本文へ

PIONEER TALK Vol.4 SHIZUKO HIRYU

生物から物理を学ぶ。
物理が苦手な女子学生さんに、
コウモリはとても良い材料です。

荒木:
今のこのコウモリの研究にはいつ頃出会われたのでしょうか。
飛龍:
ドクターに戻る時に相談した先生が丁度立ち上げられたところだったんです。
先生からこういうテーマがあるのだけれど、やってみないか、とすすめられて、もう直感的に面白いと思って飛びつきました。
荒木:
先生のご研究は普通の工学、純粋な工学に比べると生き物を扱うので、結構大変なのではないかと思うんですけど、そこは最初聞いたときにはどう思われましたか。
飛龍:
最初は、こんなにも大変だと思っていませんでした。
生き物の実験も初めてですし、やはり飼育がすごく難しいです。ドクターの途中で全滅してしまったこともありました。
コウモリのねぐらを見つけて捕まえたり、町や市から情報をいただいたり、その3年間は研究、実験そのものより、環境を整えるのに非常に苦労した思い出があります。
荒木:
この分野には、どれぐらいの研究者の方がおられるんですか。
飛龍:
海外にはいくつか研究所はあるんですけれども、工学的なところを目指して、コウモリを飼育して超音波の研究をする研究は国内では無いと思います。
荒木:
そうすると新しい道を作っていくという感じですね。
飛龍:
そうですね。工学から生物に乗り移って、融合領域というところに入ることになりました。
いろんなことが初めてで、未だに少し悩みますが、でもその分面白いですし、発見は大きかったり、小さかったり色々ですけれども、すごく独自性がある研究だと感じています。
荒木:
生物と工学の融合領域ということで、大変面白い分野ですよね。
飛龍:
そうですね。生物は女子学生さんにとっては馴染みがあって、すごく好きという高校の生徒さんは多いんですね。その一方で数学や物理は苦手というのがあるんですけど、コウモリは生物を使って物理や数学を研究する研究になります。
コウモリがやっていることは高校でいう物理の教科書に出てくる音の伝搬であったり、ドップラー効果であったり、まさしくそのものなんです。
物理を、生物から学ぶという点では非常に良い材料だなと思います。
荒木:
先ほどの実験室でも結構学生さんは、いっぱいいらっしゃいましたが、全員だと50人ぐらいですか。
飛龍:
今はたぶんそれぐらいいると思います。
荒木:
女子学生さんはどれぐらいいらっしゃるんですか。
飛龍:
1/4ぐらいはいるかなと思いますね。
荒木:
比較的工学系では多い方なんでしょうか。
飛龍:
多いと思います。生き物を扱うので、女子の学生さんにも少し親しみがあるんじゃないかなと思います。
荒木:
女子学生さんの研究の姿勢とか、関心とかはどうですか。
飛龍:
そうですね、男子学生さんと違いはありますね。
男子の学生さんは、締め切りを中々守らないけれど、ギリギリの瞬発力がすごくいいんです。一方で、女子の学生さんは日頃からすごいコツコツと、計画的にやっています。見ていると対照的に思いますね。
やはりお互い得意と不得意があって、すごく面白いなとも思いますし、それぞれ良い面があります。