ページの本文へ

PIONEER TALK Vol.5 YUMI KAJIYAMA

普段のお仕事について。
いろいろな人と会って、
話して、理想の街をつくる。

荒木:
市役所の仕事は、一般の方にはわかりにくいところがあると思います。
どんな感じの一日を過ごしていらっしゃるのかを教えていただけますか?
梶山:
今、私たちの仕事のひとつに、東横線の跡地を活用した道路をいかに有効活用しようかということをしているチームがあります。
例えばそこの人たちがどんなことをやっているかというと、まずは道路を継続的に活用するためのキーマンを探します。
荒木:
キーマンですか。
梶山:
はい。周辺の商店街や店舗を回ってご説明し、何かご協力いただけないでしょうかとお願いをします。
そして次に、道路整備の色々な制約のために、警察などとの協議を行います。
土木事務所ですとか、そういったところとの連携も必要です。
その他にも、お金を集める方策を考えなければなりませんから、民間企業さんに組んでいただけないか、お願いに行くこともあります。
荒木:
市役所の仕事というと、朝出勤してデスクワークのイメージが強いのですけれども、外に出ていろんな人に会って話をする、場合によっては説得やお願いをするなどの仕事が多いのですね。
梶山:
ほとんどそうだと思います。
私は今室長なので、会議などで役所の中にいることが多いのですが、私以外は皆、居ないことが多いです。
仕事によって行き先は色々ですが、内でも外でも、本当に幅広い方々と仕事をすることが多くて、役所の中でずっと座っているという仕事はあまりないのかなと思います。
荒木:
梶山さんは建築がご専門と伺っていますが、今都市デザイン室には何人ぐらい室員がおられますか。やはり技術系の方が多いのでしょうか。
梶山:
今は私を含めて7人です。有期で都市デザイン専門職の方に入っていただいているので、その方を入れて8人になります。
専攻は建築が半分ぐらいですね。あと事務職と造園もいます。
荒木:
造園の方、なるほど。
バックグラウンドとして、やはり専門性は重要でしょうか?
梶山:
そうですね。あったほうが良いとは思うのですけれども、無ければできないかというと、そうでも無いですね。
逆に、こういったことをしたいという方が大事でしょうか。
荒木:
思いみたいなものですか。
梶山:
そうですね。普通の職場と違って、これは絶対やらなきゃいけないというのが比較的少ない職場なのです。
ですから思いがないと何をすればいいんだろう?という状況になってしまうこともあります。
人が暮らしやすい街にするということに対して、コレがやりたい!という思いを持っていれば、あとは色々な仲間と組めばできちゃったりします。
そういう思いを持っている人に積極的に来てほしいなというのはありますね。
荒木:
一般的な建築というと、建物を設計するハード中心なイメージが強いと思いますが、お話を伺っていると、人が好きという人に向いているのでは、という感じがしますね。
梶山:
そうですね。やはり建築そのものだけという意識だとちょっと・・・。
荒木:
難しいかなという感じですか。
梶山:
そうですね。もちろん建築の知識があったほうが良いとは思うのですけれど、建築が街を作っているという視点で建築を見ていただくと、どういう建物がいいのだろう?と、考え方が少し変わってくると思います。
荒木:
今のお仕事の中で女性ならではの視点が生かせるとお感じになることはありますか。
梶山:
自分は恵まれていて、これまで女性であることで仕事がやりづらかったということは一切ありませんでした。
そういう意味では自然と意識して女性を出すというところはなかったですね。
ただよく考えてみると、例えば子どもを持つと昼間の時間帯に「ちょっとこの街使いづらいな。」と、そういうところに気づくことがあります。
「このベンチ、これだと子どもは座りづらいよね。」「ベビーカーを押すのにちょっと歩きづらい街じゃないかな。」など、そういうことが無意識のうちに頭の中に入っているというのはありますね。
荒木:
確かに、そうですね。
街に住んでいる半分以上は女性ですし、街に住む人の視点といった意味では、女性の視点を生かせるところが結構あるでしょうね。
梶山:
はい。実は私が策略を持ってやったわけじゃないのですけど、今、都市デザイン室は7人の職員の中で5人が女性なのです。
ですから、都市デザインは女性に向いている仕事なのかもしれないですね。