スペシャルインタビュー

内閣府男女共同参画局長に聞きました。

理工系女子の“わたしのあした”は
どうなりますか?

インタビュー ダイジェストムービー

理工系女子を求めているのは
日本だけではありません。
世界各国で、あらゆる企業や組織で、
活躍の場が増えるでしょうね。

武川局長

なぜ今、理工系女子が必要なの? 女子の何に期待しているの?そんな疑問をお持ちのあなたに、スペシャルインタビューをお送りします。お聞きしたのは内閣府男女共同参画局の武川恵子局長。女子の理工系分野への進出を応援する施策を始め、女性のキャリア形成、男女が共にこれからの社会など、さまざまな取組の中心的な役割を担っている方です。その武川局長に理工系の仕事の大切さ、女子に期待されている役割、そこから広がる可能性についてお聞きしました。(公開日: 2017年6月7日)

日本で働く理工系女子は約15%。
欧米諸国の半分以下、韓国よりも少ないのが現状です。

政府が理工系女子の人材育成に力を入れているのは、なぜなのでしょうか。

武川局長 :日本は世界最先端の科学技術立国を目指しており、科学技術は我が国の発展のための基盤となっています。科学技術の活性化によってイノベーションを起こして新たな商品やサービスを生み出すことが不可欠であり、そのためには優秀な人材の確保が必要です。女性は人口の半分を占めていますし、優秀な方も多くいるわけですから、科学技術の世界へもぜひ進んでいただきたいと考えています。

また、イノベーションを起こすには、優秀な人材と同時に多様性も必要です。多様性がないとイノベーションは生まれないといっても過言ではありません。ですから、科学技術分野、その中でも女性の参画が少ない理工系分野で、より多くの女性に活躍していただきたいと考えています。また、その分野で女性が増えることで、研究者や技術者のコミュニティで意識改革が促され、研究の現場での多様性に対する理解が促進されると考えます。

どのような施策を進めていらっしゃいますか?

武川局長 :我が国の研究者に占める女性の割合は、2016年時点で15.3%という調査結果が出ています。それに対して欧米では30%を超えている国が多く、特に東ヨーロッパでは40%前後という国も多くあります。イギリスでは38.1%1、ノルウェーでは37.0%1、アメリカでは34.3%2。お隣の韓国は以前、日本よりも女性研究者・技術者が少なかったのですが、2014年時点で18.5%と、すでに3ポイント以上、日本よりリードしています。しかも、日本は女性の割合を1ポイント上げるのに3年程度かかっており、進展が非常に遅いという現実もあります。
(※1:2013年調査、※2:2016年調査)

こうした状況を打開するためには、まずは理工系の女性研究者・技術者の働きやすい環境整備が第一のポイントと考えています。多様な価値観や働き方を受容した働きやすい環境、例えば長時間労働の解消や、男性・女性に関わらず仕事と育児・介護等を両立できるようなワーク・ライフ・バランスの実現も必要と考えています。

また、大学の理学部や工学部で学びたいと思う女子学生・生徒を増やすことも必要です。女子生徒の多くは大学の進路選択の際、保護者や学校の先生に相談するといわれていますから、こうした方々にも理工系分野の仕事内容や将来性をしっかりご理解いただき、能力のある女子生徒をこの分野に導いてほしいと思っています。そのため、女子生徒の皆さんはもちろん、その周囲の方々にも正確な情報を提供していくことを考えています。