ページの本文へ

日立財団スカラーズ・スポットライト

Euston Quah

Euston Quah

シンガポール・南洋理工大学
Albert Winsemius Chair Professor of Economics
Professor of Cost -Benefit Analysis, and Environment
Director, Economic Growth Centre

日立スカラーシップ種別:駒井フェローシップ(1989年4月〜6月、新潟大学)

インタビュー

現在の活動について教えてください

私は現在、シンガポールの南洋理工大学(NTU)にて経済学のアルバート・ウィンセミウス記念講座教授を務めるとともに、経済成長センターの所長を務めています。以前はNTUの経済学部長として15年間在任し、同学部の国際的評価を大きく高めました。また、シンガポール国立大学(NUS)でも経済学部長を務め、シンガポールの主要大学2校で学部を率いた経験を持つ、稀有な経済学者です。
現在は、シンガポール経済学会の会長として、国内の経済学者の専門団体を牽引しています。これまでに100本以上の学術論文と20冊の著書を発表しており、研究分野は費用便益分析と環境経済学です。政府省庁や国際機関への助言も行っており、国内の複数の委員会や理事会でも要職を務めています。
経済学と公共サービスへの貢献が評価され、NTUの記念講座教授職と、シンガポール政府より公共行政メダル(銀章)を授与されました。

奨学金や受賞がキャリアや人生に与えた影響について

私は1989年、東南アジアから初めての駒井フェローとして新潟大学を訪問しました。数か月間の滞在は非常に有意義で、多くの学びを得ることができました。日立製作所本社を訪問し、当時の取締役会長ともお話しする機会をいただきました。
滞在中には、経済学の巨匠・宇沢弘文教授とも交流することができました。宇沢教授は当時、新潟大学を訪問されており、私の研究室は経済学部内で彼の隣でした。私は当時、シンガポール国立大学の若手教員でしたが、宇沢教授との議論は非常に刺激的でした。
新潟大学では、村岡輝三教授のもとで小規模農業経営の調査研究にも参加し、農村の家族経営農家を訪問してインタビューを行いました。調査研究の実践を通じて多くのことを学びました。また、地元自治体の職員とも交流する機会がありました。
日立国際奨学財団の浅村豊氏(当時の常務理事)には、滞在中大変お世話になりました。浅村氏は非常に温かく、訪問スカラーやフェローに対して心のこもった歓迎と支援をしてくださいました。

留学や研究中の印象的なエピソード

新潟大学での研究滞在は、私にとって日本との初めての出会いでした。後に妻も合流し、二人で日本文化や伝統について多くを学びました。新潟は、東京や京都、大阪といった有名な都市とは異なる魅力を持っており、滞在を通じてその違いを実感しました。
その後も日本を頻繁に訪問し、全国各地を旅しました。日本の大学で講演を行ったり、学会に参加したりする機会にも恵まれました。
2018年に神戸大学を訪問した際には、マグニチュード6.1の地震を体験しました。大阪で発生した地震が神戸にも到達し、宿泊していた神戸シェラトンホテルで朝8時に大きな揺れで目を覚ましました。ホテル全体が揺れるのを体感したのは初めてで、非常に恐ろしい経験でした。幸いにも揺れは短時間で収まり、ホテルに被害はありませんでした。
日本の建物は地震に耐えられるよう設計されているとよく聞きますが、この経験を通じて、それが事実であることを実感しました。

写真ギャラリー


研究活動の終了を記念して贈られた記念プレート


イベントにて配偶者とともに撮影


大学の研究室にて

お問い合わせ

公益財団法人 日立財団「日立財団アジアイノベーションアワード」事務局
〒100-8220 東京都千代田区丸の内1-6-1

お問い合わせフォームへ