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領域開拓型研究

「新型コロナウイルス感染症パンデミック下のマラリア根絶:社会・経済学と医学の統合的アプローチを通じた熱帯アフリカにおける挑戦」


コミュニティ・ヘルス・ボランティア(CHV)によるマラリア発症小児の検査、キブオギ島、ビクトリア湖、ケニア


殺虫剤処理天井式蚊帳、ムファンガノ島、ビクトリア湖、ケニア


CHVによるタブレット端末を使った住民へのマラリア対策に関する知識啓発、グアシ地区、ホマベイ郡、ケニア


小学校における集団マラリア検査、ウンゴイ地区、ホマベイ郡、ケニア


CHVによる小児への抗マラリア剤投薬、ンゴデ島、ビクトリア湖、ケニア


研究対象地、ビクトリア湖、ケニア

研究概要

研究期間:2021年12月〜2024年11月

マラリアは、最も新しい感染症であるCOVID-19と対にある人類最古の感染症といえます。国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の一つである地球規模でのマラリア流行終焉に向けて、熱帯アフリカは最大の障壁でしたが、今般のCOVID-19の侵入はそこに新たな力学を生み出しています。我々はマラリア流行地コミュニティに密接した研究により、この2つの感染症によって引き起こされる社会動態を読み解き、感染症を制圧するための社会の条件とは何かを明らかにすることを究極のゴールとします。

今般、さまざまなマラリア診断、治療、予防の医学的ツールが開発されてきた一方で、さらなる制圧に向けては、安定的でかつ効率的にツールを供給するための社会経済政策のあり方、また住民の積極的なツール利用を促す方策といった非医薬的アプローチがカギになると考えられます。特に、パンデミック下では、上述の医学的ツールの配分から受容、活用に至る過程の重要性と脆弱性とが再認識されました。しかしながら、こうした文化・社会・経済的因子のマラリア伝播への寄与について、データに基づいた学術的解析は十分になされておらず、我々は高度マラリア流行地である熱帯アフリカのビクトリア湖周辺地域において、医学、経済学、文化人類学の多角的視点からCOVID-19流行下のマラリア伝播を読み解くことで、マラリア対策を着実なものとし、マラリア撲滅に向けた戦略のさらなるアップデートをめざします。また、得られた知見を環ビクトリア湖周辺国が集うコンソーシアムにおいて共有、議論することで、学術的成果にとどまらない、社会実装につながる研究を推進します。マラリアで見られる医学的ツールとその展開、受容のステップは、COVID-19を含むさまざまな感染症に共通するものであり、得られる研究成果は普遍的な感染症対策構築に資するものであると考えます。

研究代表者

写真:金子 明氏

大阪公立大学 大学院医学研究科 寄生虫学分野
特任教授 金子 明

筑波大学付属駒場高校卒業。弘前大学医学部卒業。1984年バンコクでDTM&H。その後10年間インドネシア・北スマトラ島でJICA、南西太平洋・バヌアツでWHOの現地マラリア対策に従事。1995年帰国後、東京女子医大・国際環境・熱帯医学教室。1999年ストックホルム・カロリンスカ研究所でPhD、2011年より教授。大阪公立大学で2010年より教授、2022年より現職。この間、バヌアツ、PNG、カンボジア、マラウイ、ザンジバール、ケニア等でマラリア撲滅に向けた研究を現在まで継続。

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