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日立財団元会長 川村隆氏インタビュー

こころざし、ひとつに。「日立財団」が、歩み始めました。 公益財団法人 日立財団 元会長 川村 

2015年4月、日立グループの財団として活動していた5つの財団が合併し、「日立財団」が発足しました。その統合の経緯や、財団の位置付けや役割、そして未来について、日立財団元会長であり2009年から2014年まで日立製作所の会長を務めた川村驍ェご説明します。※本インタビューは2016年9月に実施したものです。

環境と生命の世紀に向けて

環境と生命の世紀に向けて

20世紀は大量生産・大量消費・大量破棄の時代だったといえます。日本においては戦後の急激な発展と成長に伴い、技術開発力の立ち後れや公害、核家族化といったことが社会問題化していました。これら課題の解決に向けて日立製作所では目的別に複数の企業財団を立上げ、最終的に5つの財団が活動を続けていました。

そしていま、21世紀は環境と生命の世紀といわれ、エネルギーや水資源、食料、安全保障、貧困格差などが今後解決すべき社会課題としてあげられています。日本に限れば、少子高齢化や地域格差なども忘れてはなりません。

つまり、社会のパラダイムががらっと変わろうとしているのです。こうした社会情勢の大きな変化に対応して、企業財団のあり方や事業内容も変わるべきではないか。変革する社会課題に中長期的な視点でどのように対応すべきか。これまでの成果やリソースを引き継ぎつつ時代にふさわしい日立ならではの企業財団となるにはどうあるべきか。さまざまな議論を重ね、これまでの5つの財団を「日立財団」として1つに統合しました。次の社会構築に向け、こころざしや視点をひとつに、新たに歩み始めたのです。

「社会日立」の一翼を担う

「社会日立」の一翼を担う

日立グループには、「稼ぐ」ことが社会貢献につながるという考えがあります。各グループ企業はその「経済的な稼ぐ力」で付加価値を創造し、社会に還元します。さらに「イノベーション力」や「事業開発力」で次世代の持続的繁栄を促し、「雇用する力」で人々に安心、やりがい、自律性をもたらし、社会の安定と発展を促します。そして、各企業が自らの「稼ぐ力」を磨くことが、それがそのまま「社会貢献力」の増大につながっていきます。

その一方で、稼ぐことだけでは格差やエネルギー、貧困、環境といった現代の社会課題に対応するのは困難です。営利活動をベースにした社会貢献は、どうしても制約や限界がつきまといます。そうした営利活動の「壁」を突き抜け、さまざまな課題に対して広くきめ細かに対応するために、ソーシャルビジネス的な体制づくりが必要となっています。

営利企業として社会貢献する「企業日立」と、社会的な活動に専念する「社会日立」、その両輪により環境と生命の世紀の社会的課題に応えていきたいと考えています。日立財団は、その「社会日立」の一翼を担う存在として位置づけます。

日立財団は日立グループとビジョンを共有し、それぞれの強みを活かした活動を展開することでシナジー効果を生み出し、社会課題の解決に向けて価値の拡大を図っていくことを目的としています。グループ各社で手がけることが難しい社会課題に対して、日立財団が事業活動を担当することで、中長期的に安定した貢献活動が可能になります。また、日立製作所と同じスパンで中期事業計画を策定し、活動のPDCAサイクルを回すことでその実効性を高めていきます。

「和」「誠」「開拓者精神」に立ち

「和」「誠」「開拓者精神」に立ち

この3つの言葉は、日立製作所創業の精神です。創業社長、小平(おだいら)浪平が後の社員たちに残したものです。

「誠」とは、個人として誠実に物事に取り組むこと、社会からの信頼をかち得るための基本姿勢を差します。「和」は、集団として力を発揮するために。そして「開拓者精神」は、常に専門分野で先駆者でありたいと願い、能力を超えるような高いレベルの目標に挑戦し、未知の領域にも独創的に取り組もうとするスピリットです。これらは創業から今日まで受け継がれており、日立財団も同様です。時代が変わり新たな体制となっても、日立グループが共通して持っている精神を基盤とすることに変わりはありません。

日立財団はこの「和」「誠」「開拓者精神」に立ち返り、日立グループはもちろん政府や地域社会、顧客、NGO・NPOなどさまざまなステークホルダーと連携し、日立が掲げる社会イノベーションの一翼を担っていきます。
これからの日立財団に、ご支援とご協力をどうぞよろしくお願いします。

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公益財団法人 日立財団
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