シンポジウム・ダイジェスト
高齢化の一方で進行している少子化。1990年には全体の18.2%あった0〜14歳の人口は、2015年に12.5%、さらに2040年には10.8%と、約半分に減ると予測されています※。さらに現代の社会情勢として、高齢化による社会保障費の増大、それによる政府の子育てや教育関連予算の圧迫、貧困世帯の増加などによる社会不安の増大などの要因がさまざまに絡み合い、子どもを産みにくい、育てにくい社会環境になりつつあります。
子どもの成育は、日本社会の未来に直結します。今後も多くの子どもが生まれ、その子どもたちが健康で心豊かに育てば、それは家族の希望や地域の活力としてだけでなく、次の時代へ向けて日本を牽引するエネルギーとなります。
今回のシンポジウムでは単に出生数を増やすだけでなく、子どもたちをどこまで「幸福」に育てることができるかに焦点を当て、そのための教育方法や社会基盤や制度の整備、地域のコミュニティを考察しました。
まず基調講演として、自らのお子さんを全米ナンバーワンの女子高校生に育てたボーク重子さんに、次世代の子どもに必要な能力として注目されているキーワード「非認知能力」について語っていただきました。
さらにシンポジウムは次の3公演を行いました。
1つ目は京都大学准教授で社会学の立場から子育てを論じ、政府などへの提言も多い柴田悠氏に、少子化の問題点とその解決策を探って頂きました。
続いて、シンクタンクである日本総研で子育てをテーマに長年調査を行っている池本美香氏に、海外での調査経験をもとに、日本と海外における子育ての意識や制度の違いと、そこから幸せな子育てについて論じて頂きました。
最後に、自らも主夫として家庭や子育てを行い、NPO法人ファザーリング・ジャパンなどでも活動している村上誠氏に、子育てで今後必要になってくるであろう、祖父母の力とその意義について語って頂きました。
いずれの講演も、少子化対策や子育てに関して気づきや発見が多く、子育て世帯はもちろん、その子育てを支援する周囲の人にも多いに参考となる内容です。ぜひご一読ください。
※総務省統計局「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」出生中位・死亡中位推計より
基調講演 講演録
「全米最優秀女子高校生を育てた教育法」
ボーク 重子 さん
シンポジウム
講演録1
少子化時代における子育て支援の意義
准教授 柴田 悠 氏
准教授 柴田 悠 氏
講演録2
日本の子どもは幸せか - 海外の子ども関連施策の動向 -
主任研究員 池本 美香 氏
主任研究員 池本 美香氏
講演録3
未来のたまご育てプロジェクト
- 笑っているシニアが社会をすくう -
NPO法人孫育てニッポン 理事
NPO法人いちかわ子育てネットワーク 理事
村上 誠 氏
イクジイプロジェクト リーダー
NPO法人孫育てニッポン 理事
NPO法人いちかわ子育てネットワーク 理事
村上 誠 氏