日立環境財団の出会い

環境賞

「公害」から「地球温暖化」、さらに市民参加による実践活動へ

日立環境財団の前身、公害調査センターでは1974(昭和49)年に「環境賞」を創設しました。
これは、環境庁(現在の環境省)の後援を得て日刊工業新聞社との共催事業として始めたもので、環境保全に関する技術開発や調査・研究、実践活動を対象とした表彰事業です。
賞の設立にあたっては、公害などを単に指摘するのではなく、解決のための新しい方向性を示していきたいという思いがありました。また、この賞のひとつの特徴は、創設当初から「環境賞」という名称をつけたことにあり、公害に直面している時期であったにもかかわらず、「環境」という大きな枠組みでとらえていたところに先人の先見性が見られます。

「環境賞」の受賞テーマにみる環境問題への取り組みの変遷

「環境賞」が制定された1970年代は主に公害対策に有効な新技術や調査研究が多く受賞しています。

1990年以降は地球温暖化や生物多様性など、地球規模の環境問題に焦点が移り、環境保護や省資源につながる技術や研究が受賞するようになりました。ハイブリッドカーやヒートポンプなどは、受賞後に広く普及し社会に浸透しました。

さらに21世紀には、技術開発だけでなく、環境教育、NPO活動、ボランティア活動など、環境問題の解決に向け、市民参加による実践活動や日常のライフスタイル改善の取組みなどが注目されるようになり、表彰の対象を広げました。
「環境賞」は、日立環境財団が日立財団に統合された後も、国立研究開発法人国立環境研究所と日刊工業新聞社の共催事業として引き継がれ、現在も表彰が行われています。

環境賞 主な受賞リスト

公害対策への表彰

  • 1975(昭和50)年「産業排水等の海域に及ぼす影響の研究」[日本工ヌ・ユー・エス(株)]
  • 1979(昭和54)年「廃棄物埋め立てに伴う環境汚染防止に関する研究」[大阪市立環境科学研究所]
  • 1983(昭和58)年「四日市地域における硫黄酸化物総量規制方式の確立」[三重県]
  • 1988(昭和63)年「都市河川の水質汚染機構の解明と保全対策」[東京農工大学]

環境問題に対する表彰

  • 1998(平成10)年「乗用車用量産型ハイブリッドシステムの開発」[トヨタ自動車(株)]
  • 2000(平成12)年「冷蔵庫断熱材フ口ンの回収装置」[ (株)日立製作所]
  • 2002(平成14)年「家庭用CO2ヒートポンプ給湯機の開発と実用化」[東京電力(株)、
    (株)デンソ一、他]
  • 2003(平成15)年「実用的燃料電池車の開発」[(株)本田技術研究所]
  • 2009(平成21)年「外気活用によるデータセンターの空調動力削減」[(株)IDCフロンティア]

NPOに対する表彰

  • 2004(平成16)年「北方四島周辺における生態系の調査と保全」[NPO北の海の動物センター]
  • 2008(平成20)年「僻地農山村における自然体験教育システムの開発と実践」
    [NPOグリーンウッド自然体験教育センター]
  • 2011(平成23)年「未来に生きる子どもたちのためのどんぐりの森づくり」
    [NPO法人 どんぐり1000年の森をつくる会]
  • 2014(平成26)年「アジア地域に適したコミュニティ排水処理システムの開発と普及」
    [特定非営利活動法人APEX]

2014(平成26)年度 第41回表彰式

小池百合子環境大臣(当時)よりご祝辞

受賞者に贈られる「環境賞」楯