倉田記念日立科学技術財団の出会い

倉田奨励金 歴代受領者

49年、延べ1,323名。

若手研究者の研究活動を奨励する倉田記念日立科学技術財団の活動は1968(昭和43)年度から始まっています。
その後、2016(平成28)年までに倉田奨励金を受領した研究者は延べ1,323名にのぼります。
「これからは科学技術を日本の宝として育てたい」という倉田の思いは、この1,323名に受け継がれたともいえるでしょう。

歴代受領者の研究成果と社会への貢献

第2回 (1969年度) 森 政弘 氏 東京工業大学名誉教授 工学者

ロボコン創始者。オートメーション、ロボット分野で先駆的な研究実績を持ちます。
二足歩行ロボットの研究において、膝が伸縮するタイプの二足歩行ロボットとその制御理論を開発し、その成果は弟子である竹中 透 氏(本田技研 主席研究員)が本田技術研究所においてASIMOとして実現しています。また、「不気味の谷」現象の発見など、技術的な面だけでなく、創造性・哲学の観点からもロボット工学にも大きな業績を残しています。
・倉田奨励金の受領研究テーマ
「多品種生産の自動化を目的とした人工両手系の研究」

第9回 (1976年度) 海部 宣男 氏 国立天文台名誉教授(元国立天文台長)天文学者

電波天文学、赤外線天文学を専門とし、わが国初の先端大型望遠鏡、長野県の野辺山宇宙電波観測所の電波望遠鏡建設において、中心的な役割を果たしました。その後、1991年より「すばる」プロジェクトに参加し、初代ハワイ観測所長として日本で初めての海外観測所を立ち上げ、すばる望遠鏡を完成に導きます。科学の普及に早くから取り組んでおり、講演活動のほか、子ども向け、一般向けの著書が数多くあります。
・倉田奨励金の受領研究テーマ
「音響光学効果を用いた宇宙電波分光計の試作」

第10回 (1977年度) 藤嶋 昭 氏 東京理科大学学長 化学者

酸化チタンに光を当てると化学反応が促進される「光触媒」を発見しました。この現象は、共同研究者の本多健一氏の名前と合わせ「本多-藤嶋効果」と呼ばれています。光触媒はさまざまな応用技術が開発されており、防汚・抗菌消臭作用を利用した空気清浄器や建物の外壁、親水性の特性からガラスや自動車のサイドミラーなど、私たちの生活の身近なところで幅広く利用されています。さらにNOxを分解することからヨーロッパなどでは省エネだけでなく、環境浄化の面からも高く評価されています。この業績により、2017年に文化勲章を受章しています。
・倉田奨励金の受領研究テーマ
「電気化学的方法による太陽エネルギーのクリーンエネルギーへの変換」

藤嶋氏には2002~2014年の13年間にわたり、倉田奨励金の選考委員として、無機化学分野の選考にご尽力いただきました。藤嶋氏の選考により倉田奨励金を贈呈した研究者は100名にのぼり、藤嶋氏の研究への思いと共に倉田のこころざしが次の時代を担う研究者へと引き継がれています。

2016(平成28)年度 第48回 倉田奨励金贈呈式

1977(昭和52)年度 第10回 倉田奨励金贈呈式
前列左から1人目:野依 良治氏 3列目左から4人目:藤嶋 昭氏

倉田奨励金研究報告書(年1回発行)