日立国際奨学財団の出会い

活躍を続ける招聘者たち

世界で認められる若手女性研究者、スリ・ファトワマティ博士

日立国際奨学財団は、東南アジアから数々の優れた研究者を招聘してきました。過去の招聘者の中には、国際的に顕著な功績を認められて活躍を続ける研究者も多くいます。

九州大学生物資源環境科学府農学研究院で博士号を取得したスリ・ファトワマティさんもその一人です。スリさんの専門は、天然物化学(natural products chemistry)(※1)で、日立スカラーシップ招聘者として学んだ博士課程では、食用・薬用キノコから抽出される物質を糖尿病治療に役立てる研究に従事しました。2011(平成23)年に博士号を取得したのちも一年間九州大学にて研究を続け、2013(平成25)年に帰国した後は、母校インドネシアのスラバヤ工科大学で、教鞭を執りながら研究を続けています。※1.天然物化学:生物が産生する物質(天然物と呼ばれる)を扱う有機化学の一分野

スリさんは、日立スカラーシップの招聘期間が終わったのちも、自身の活動や受けた表彰を財団に報告してくれます。スリさんは、植物や真菌の抽出物の医学製薬への利用可能性を分析する研究において、若手女性研究者として世界的に認められており、 2013(平成25)年には「ユネスコ・ロレアル生命科学分野の若手女性研究者のためのフェローシップ」(※2)、2016(平成28)年にはエルゼビア財団の「発展途上国の若手女性研究者賞」(※3)を受賞しました。

※2.国連専門機関ユネスコと化粧品会社ロレアルグループが、若手女性研究者による生命科学分野の研究促進のため、毎年世界で15名の女性に対して提供する権威あるフェローシップ。
※3.世界最大手で老舗学術出版社エルゼビア(本社オランダ)の財団がおくる賞で、発展途上世界の進歩的なキャリア早中期の女性研究者5名を毎年表彰・助成している。

またスリさんは、若い人がよりよい社会のために科学の道に進むことを願い、後進の指導、特に女性科学者の育成に精力的に取り組んでいます。研究者として、また教育者として、今後のますますの活躍が期待される一人です。

2016(平成 28)年、米ワシントンD.C.で行われたエルゼビア財団の授賞式

同授賞式にてスピーチをするスリさん